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(1)オーバル細胞(Oval cells)

オーバル細胞は、Emmanuel Farber が肝化学発癌過程において発癌剤投与初期にグリソン鞘(Glisson’s sheath)周囲に出現する楕円形の核を持つ未分化な細胞として最初に報告した。

  • Farber E: Similarities in the sequence of early histological changes induced in the liver of the rat by ethionine, 2-acetylamino-fluorene, and 3’ methyl-4-dimethylaminoazobenzene. Cancer Res 16: 142-148, 1956

2-acetylaminofluorene (2-AAF), d-galactosamine, allyl alcohol, furan, 3,5-diethoxycarbonyl-1,4-dihydrocollidine (DDC)などの薬剤で誘導されることが知られている。

ある特定のタンパク質を発現していれば確実にオーバル細胞と見なしてよいとされるマーカーは未だ見つかっていない。オーバル細胞を同定するために、ケラチン(cytokeratin: CK)7, CK19, OV6, mouse A6 antigen, α-フェトプロテイン(α-Fetoprotein: AFP), Thy1, c-kit, CD34, Dlk-1などのいずれかのマーカーの組み合わせがよく用いられる。

オーバル細胞の由来については、グリソン鞘周囲に存在し、胆管様構造を呈し、ヘリング管(canal of Hering)細胞と形態が類似することなどからヘリング管由来と考えられているが、未だに議論があるところである。

Thy1, c-kit, CD34は、骨髄の造血幹細胞でもよく発現していることから骨髄由来の細胞の可能性もあるが、その頻度は非常に低い(1%以下)と考えられている。

図1

図1. オーバル細胞(Oval cells)
ガラクトサミン投与ラット肝臓に出現したオーバル細胞。D3,D4は薬剤投与後の日数

(1)オーバル細胞(Oval cells)
(1)-1 Hering管(Canals of Hering)
(1)-2 細胆管(CoH)から肝細胞への分化